こんにちは、汰緒鞠映(タオマリエ)です。
静岡磐田市北部で、アダルトチルドレンのお悩みを抱えるジモジョの方々をサポートしています。最近は「愛着」という観点で、いろいろなヒントをお届けしています。
前回の記事の続きになっていますので、前回の記事はこちらをどうぞ:『自分を放棄してるってこと気づいてる?』
Contents
あなたは自己放棄しがちな人?
前回の記事では、自己放棄の意味と特徴についてお話しました。自己放棄(self-abandonment)とは、自分を放棄すること。自分の考え、欲求、感情などをあきらめたり、ないことにしたりする傾向のことです。言い換えると他人軸によって立っている人、と言えます。
そして、自己放棄の傾向がある人の特徴を5つあげました。5つの特徴は以下の通り。
自分のニーズを無視する/他人からの承認を求める/自分を隠す/完璧主義者/感情を抑圧する
これらの特徴は、誰でも少なからず持っているものです。時と場合によってはそのように行動することがあります。でも、もしあなたが何か生きづらさを感じたり、対人で問題を抱えているとしたら・・・ひょっとしたら自己放棄的なスタンスが原因かもしれません。
前回の記事の後半部分に説明している5つの特徴に、自分がどのくらい強く当てはまるか、そしてどういう時に起こるかなど、ぜひ考えてみてください。『自分を放棄してるってこと気づいてる?』
自己放棄のクセを手放す3つのステップ
それではここから、自己放棄的なスタンスを持っているあなたが、そのクセを手放すための3つのステップをご紹介します。
ステップは以下の3つです。
自分の気持ち(ニーズと感情)につながる/セルフコンパッションを実践する/ノーと言うことを学ぶ
これら3つのステップについて、説明していきます。タオマリエのクライアントさんの例も参考に挙げてみますね。
(1)自分の気持ち(ニーズと感情)につながる
ニーズってなあに?
ニーズと言う言葉はちょっとわかりにくいのですが、自分が必要としているものごと全般をさします。
例えば、赤ちゃんのニーズと言えば、おしめを替えてもらったり、おっぱいをもらったり、抱っこしてもらったりなど。幼児以上になれば、自分の話を聞いてもらったり、泣いている時に抱きしめてもらったり、自分がやりたいと思うことを手伝ってもらったり、あるいは見守ってもらったりなど、と言えます。
自分の気持ちが「わからない」大人
しかし、自己放棄のクセをつけて成長した大人の場合、自分が何を感じていて、何を欲しているのかが非常に曖昧です。何かの出来事についてどんな気持ちですか?と聞いても「わからない」「考えてみないと・・・」という返事が返ってきます。
自分の気持ち(ニーズと感情)を知ることは、とても難しいことなのです。
内面を見つめるために時間と空間を割く
したがって、鍵となるのは自分の内面を見つめるための時間と空間を割く、ということです。自分の感情をよく観察し、人生で自分が大切にするのはどんなことか、考えてみましょう。
自分自身に問いかけてください。「どんな時に嬉しく感じる?」「好きなもの・ことは?」「嫌いなもの・ことは何?」「ほしいものは?」「ほしくないものは?」
このようなことは、長い間ずっと考えたり感じたりしないようにしてきたはずです。だから一度ですぐにわからないかもしれません。時間が予想外にかかることでしょう。
しかし問いかけを続けていくことで、本来の自分とのつながりを回復することができます。そして、自分にとって大切なもの・ことは何かを見つけていくことが可能です。
クライアントさんの例
自分以外の人のニーズを優先してきた
以前のタオマリエのクライアントさんの事例をお話したいと思います。
30代女性のCさんは、家族の中の問題を自分がクッションになることで解決しようと子どものころからがんばってきました。母親がCさんのお兄さんにかかりっきりだったため、自分のことは自分で何でもやっていたそうです。そして家族を助けようと自分の時間や自分のやりたいことを犠牲にして過ごしてきたのです。
結婚して実家から離れたのにも関わらず、親が病気になったために、今度は夫と二人で実家の近くに引っ越して親の面倒を見ることにしました。母親からは「あなただけが頼りよ」と言われたそうです。
自分が親を助けなきゃいけないんだ、自分しかいない、という気持ちのために、自分自身の生活や自分の夢を後回しにしたのです。
相手に翻弄される人間関係
Cさん自身の問題は、対人関係の「不安」をなんとかしたいということで、タオマリエにご相談に見えました。職場の対人関係で相手のいいなりになってしまい、気がついた時には巻き込まれてトラブルになったことがきっかけでした。
自分の意見がわからないし、何が正解かわからない。自分が相手にどう思われるか不安で、相手の言うことに従っている自分がいる。いつも不安な気持ちにかられている、とのことでした。
背景にある不安定な家族環境
この背景にはCさんの子どもの頃の不安定な環境が考えられます。
子どもの頃からお兄さんが優先され、自分のニーズはかなえてもらうことがありませんでした。自分が我慢して献身することで、たいへんなお母さんを少しでも助けようと健気にやってきたのです。
辛いとか、悲しいとか、寂しいとか、そういう感情にもフタをしなければいけなかったのです。
このような状況下で成長する人は、自己放棄のクセを身に着けていきます。そして同時に、愛着という観点では、不安型愛着スタイルを持つことは避けがたいのです。
不安型愛着スタイルの人の特徴は、不安を感じることが多く、安定を切望するということ。そのために誰かのニーズを受け入れて自分のことを後回しにする。そして相手に依存的にもなる、ということです。
(愛着スタイルについては『愛着スタイルの作られ方』をご参照ください)
「あなたはどうしたいの?」
自分を変えたいと強く望んだCさんが、タオマリエの心理セラピーを継続して受けた結果、自分で家で行うようにした方法がありました。
それは、自分ひとりになる時間と場所を確保するようにしたこと。そして、自分自身に、ある言葉をいつも問いかけるようにしました。
Cさんは、今まで「わからない」とすぐに焦ってしまうことが多かったのですが、意識的に自分に問いかける言葉を決めました。
それは「あなたはどうしたいの?」という言葉。
ひとりになる時間を増やすとともに、「あなたはどうしたいの?」と自分の気持ちを尋ねることを続けていきました。すると不安が徐々に減り、自分の気持ちもわかるようになっていったのです。
こんなエピソードがありました。Cさんはご近所さんから「親ごさんの面倒をきちんとみて偉いね」と声をかけられることがあり、以前は褒め言葉だと受け取っていました。しかし、心理セラピーを始めて数か月後のある時。その言葉を聞いて本当は全然嬉しくない自分に気がついたのです。
Cさんは心理セラピーを通して、そして自分のための時間と問いかけによって「自分のニーズと感情につながる」ことができるようになっていったのです。
(2)セルフコンパッションを実践する
自分を優しくあつかう
二つ目のステップは「セルフコンパッション」の実践です。
前回の記事で、自己放棄の特徴のひとつに「感情を抑圧する」という点を挙げました。特に不快な感情については、すぐさまなかったことにして、さらにそれを「ポジティブな経験」だとしてごまかそうとします。
そんなクセを持つ人には、セルフコンパッションが必要です。セルフコンパッションとは、自分をいたわり自分を優しい気持ちで扱うことを意味します。
自分をそのまま受け入れる
あなたは誰かから不公平に扱われて悲しかったり、孤独を感じたりすることはありませんか。そのような時にはその現実を変えようとしなくていいのです。そのままのあなたであっていいのです。
それらの受け入れがたい不快な感情も、自分の感情だと受け止めて、それらに寄り添い癒すことを、自分に許可してみてください。
タオマリエが推奨するセルフコンパッションの方法は、『自分に優しくする3つの方法をやってみよう』の「(1)自分の感情を受け止める」で詳しく書いているのでぜひ参考にしてください。
ポイントは、ネガティブに思える自分の感情を否定せずに、受容の言葉を自分に声かけすることです。
(3)ノーと言うことを学ぶ
三つ目は日常の中でノーと言うことを覚えるというものです。
少し長くなるので、次の記事に続けたいと思います。
次の記事はこちら『ノーと言えないあなたのために』
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