こんにちは、汰緒鞠映(タオマリエ)です。
静岡県磐田市北部のお茶畑の見えるセラピールームから、「自信がない」「自尊心や自己肯定感が低い」「人間関係が苦手」「生きづらさを何とかしたい」とお悩みの方々に、ヒントとなるブログをお届けしていきます。
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今日は以前に書いた「心理カウンセリングの効果」の二つ目を考えたいと思います。心理カウンセリングによって得られる二つ目の効果は「感情のブロック解消ができトラウマの克服につながる」というものです。
Contents
トラウマとは
トラウマとはギリシャ語で傷、ケガを意味し、疾患や病名ではありません。感情や理性で対応しきれないほどの身体的または感情的痛みを伴う経験に対して起こる心身の反応をトラウマといいます。
大きいトラウマと小さいトラウマ
トラウマ治療の分野では、トラウマを二つに分類しています。大きなトラウマと小さなトラウマです。大きなトラウマは、事件や事故など、非日常的な大きな出来事によって起こるもの、小さなトラウマは、日常の中で起こる小さな出来事から生じるもので他人にはわかりにくいものです。
しかし、トラウマは出来事の大きい小さいにかかわらず、本人の感じ方しだいで、トラウマの現れ方も個人差があると言われます。たいしたことはないと思える出来事であっても、それが繰り返し起こることでトラウマ症状が起こる危険性が十分あります。小さいトラウマだからと油断はできないのです。
アダルトチルドレンのトラウマ
大小による分類と視点の違う、「単回性トラウマ」と「複雑性トラウマ」という二つの分類があります。出来事が起こった回数が一度なのか、それとも長い期間に繰り返されたものか、という区別です。
一度のショッキングな大きな出来事から起こるトラウマが「単回性」、日常で繰り返される慢性的な経験によるトラウマは「複雑性」と呼ばれます。
タオマリエのクライアントさんは、アダルトチルドレン特徴の生きづらさに苦しむ人が多いです。このような方は、子ども時代に繰り返された日常の出来事による「複雑性トラウマ」を抱える人と見ることができます。
ここからは「複雑性トラウマ」を深堀していきます。
複雑性トラウマとは
繰り返し起こる出来事とは
生きづらさにつながる「複雑性トラウマ」は、長い年月繰り返し起こる出来事によるものとされます。まず、その出来事のメインの舞台は家族の中、つまりは親(養育者)との関係です。
それは、子ども自身が安心という感覚を十分に得られないものと考えられます。
―親から共感されない、親の理想を押し付けられる、無理な期待をされる、矛盾した対応をされる、コントロールされる、決めつけられる、兄弟と比較してけなされる、助けを得られない、など。
ひょっとしたら、あなたが子どものころの親との関係と重なるものがあるでしょうか?
また、家族の外にもストレスになる出来事は起こるものです。最たるものは、いじめや仲間はずれなど、友人たちとの関係があります。スクールカーストという言葉も流行りましたね。
―いじめられる、仲間はずれにされる、無視される、先生に決めつけられる、皆の前で失敗する、バカにされたり笑われたりする、など。
サバイバルするためにしていること
このような出来事が繰り返される毎日は耐えられないものです。複雑性トラウマの大きな特徴は、出来事が起こる場所が、日常生活の場であるということです。その状況から抜け出すことは不可能としか思えません。
つらい日々を潜り抜けてサバイバルするために、身に着けていくのが「誤った信念」(マイナスの思い込み、ビリーフ)なのです。
タオマリエがメインで行っているインナーチェンジングセラピーには、子どもの頃に身に着けた「誤った信念」を「緩める、小さくする、書き換える」ためのステップが含まれています。このセラピーの基となる交流分析の概念では、謝った信念は「禁止令決断」と呼ばれ、25種類が特定されています。
ここでは一般的にわかりやすく「信念」または「思い込み」の言葉を使います。
誤った信念・ネガティブな思い込み
信念または思い込みとは、何かのものごとを真実だと信じることです。しかし、その信念は、実は間違ったもの(ウソ)であり、自分に制限をかけるネガティブな思い込みです。
例えばどんなものがあるか、クラウディアブラック著『あなたの苦しみを誰も知らない – トラウマと依存症からのリカバリーガイド』(金剛出版)からいくつか引用します。
「誰も信用してはならない」「私は生きる価値のないくだらない人間だ」「何をするときでも正しく完璧にやらなければ、後でたいへんなことが起きる」「まわりの人間のニーズを満たすことが大切だ。そのためには自分のニーズなど後回しでよい」「しなければならないことがたくさんある。遊んだり楽しんだりする暇はない」「私は何をやってもダメな人間だ」「私は他人にすかれるような人間でも、他人から愛されるべき人間でもない」「私は何をやってもいつも失敗する」など。
トラウマから来る不快感情
生きづらさを助長するもの
タオマリエのクライアントさんは、アダルトチルドレン特徴を抱えて生きづらさで悩んでいる方がほとんどです。その生きづらさの中心には「不快感情」というネガティブでコントロール不能な感情があります。
不快感情を訴えるクライアントさんは「不安でたまらない」「恐くてたまらない」と言うことが多いです。そして「理由がわからない」と。これは不快感情といえるものです。
客観的には、不安になったり怖いと思う理由は特にないのに、気持ちがコントロールできないのです。このようなコントール不能な不快感情は、「偽物の感情」「代理感情」「ラケット感情」という別名があります。
制御不能な感情で圧倒されている時、普段はしまわれているトラウマの記憶が活性化されていると考えられます。その人は、子ども時代に起こった「複雑性トラウマ」の影響下にあるのです。
不快感情が減っていく
心理セラピーを継続するクライアントさんは、徐々に「不快感情」(コントロールできないような不安や怖さ)が減るのを感じます。
例えば、上司に怒られるのを気にしてビクビクしていた方は、数か月するうちに「怒られる」という不安や心配をあまり感じなくなりました。それだけでも職場での居心地が随分変わってリラックスできるようになり、周りから「明るくなったね」と言われたそうです。
それは、一度にばっと変化するのではなく、不安や恐れを感じる回数が減ったり、その程度が小さくなる、という感じです。中には、ある時怖さを感じていない自分に氣がついて、自分でもびっくりした、ということもよく耳にします。
不快感情が減ることは「生きづらさ」の低減に直結します。
「生きづらさ」を手放したクライアントさんの例
自分の考えや感情を抑えてサバイバルする子ども
トラウマから解放されることで「生きづらさ」を手放していったクライアントさん(Hさん、50代女性)の例をご紹介します。子ども時代に受けた親からの言葉や扱いが、トラウマとなり、Hさんの人生にかなりの影響を与えてきました。
50代になってから、これまでずっと翻弄されてきた「生きづらさ」から本当の意味で解放されたいと願われタオマリエを訪ねてくださったのです。
過干渉で支配的な親のもとで育つ子どもは、自由を束縛され、自分の考えや感情を奪われます。心理学的に言い換えると、親から「自分は好きなことをしたり、自分の考えを持ったり、感じたりしてはいけない」という禁止の命令を受け取っています。Hさんの場合はまさにその例です。
マイナスの思い込みは「楽しんではいけない」
「人生は楽しんではいけない」というマイナスの思い込みを強く持っていらっしゃいました。何かを自分で決めたりする時には過剰に不安や怖さ、罪悪感に苛まれます。Hさんは自分の過去を振り返って「不安」の中でずっと生きてきた、とおっしゃいました。
子ども時代に、親に自分の思いや感情を受け止めたもらえなかった影響が、大人になってから人付き合いの苦手感や心労として表れていました。自分の気持ちがわからず、相手の顔色を見て「嫌われているんじゃないか」と不安になってどっと疲れてしまう。
もしあなたが、人といると疲れてしまう傾向があるなら、この不安感と疲れ方はすでにお馴染みのことでしょう。これは小さなトラウマの蓄積が、不安や恐怖という不快感情を引き起こしている状態です。昔の私自身の感覚では、危険を知らせるアラームが体のどこかで鳴り続けていて、「逃げなきゃ」「でもどこへ?」「なんとかしなきゃ」という焦りの気分です。
インナーチャイルドの癒しによるトラウマからの解放
心理セラピーでは、Hさんの傷ついたチャイルドの自我状態(インナーチャイルド)を癒すことを中心に行いました。2年間をかけて、12回のセッションと習慣化トレーニングを行い、ゆっくりと着実にトラウマの記憶から解放されていかれました。
最も大きな効果として「色々なことが怖くなくなった」とHさんはおっしゃいます。不安な気持ちに翻弄されることが減り「それでいいんじゃない」と思える自分になってきたようです。
例えば、最近車を新しくする必要があり、外車を選ぼうと考えたHさん。さっそく「そんな贅沢をしていいのか」という父親の声が頭に響いたそうです。これまでなら、不快感情に襲われて、誰にもいわずにあきらめていたことでしょう。
でも、自分の欲求はかなえてもいいと思えるようになっていたHさんは、さっそく旦那様に相談しました。旦那様は「楽しいと思えることをすればいいよ」と言ってくれたそうです。
Hさんは「好きなことをしてもいい、楽しんでもいい、」という許可を自分に出せるようになっていたのです。これは、心理セラピーを通してインナーチャイルドが癒され、トラウマの記憶がかなり減ったことの効果といえます。
時々起こっていた、辛い記憶のフラッシュバックもなくなったそうです。
感情のブロック解消とトラウマの克服
タオマリエの心理セラピーは、トラウマケアを専門にしているわけではありません。
アダルトチルドレン傾向の「生きづらさ」である自信のなさや自己肯定感の低さ、人間関係のお悩みの解決をサポートする心理セラピーを行っています。
このサポートによってクライアントさんは、ラクになった、自信のなさがなくなった、という感想をおっしゃいます。その場合、クライアントさんには、感情のブロック解消(不快感情からの解放)が進み、それがトラウマ克服の手ごたえにもつながっているのだ、と感じています。
今日は、心理カウンセリング(心理セラピー)の効果の二つ目「感情のブロック解消ができトラウマの克服につながる」についてお話しました。
あなたの心理カウンセリングへの理解の助けになることを願っています。
(参考文献:『あなたの苦しみを誰も知らない』クラウディア・ブラック著 金剛出版)
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