こんにちは、汰緒鞠映です。
静岡県磐田市の北部、お茶畑が広がる住宅地の一角で、アダルトチルドレンの生きづらさやマイナス思考、自信のなさ、人間関係のお悩み人のサポートをしています。
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Contents
人に対する関係依存
今日は「依存」という観点でアダルトチルドレン(AC)の恋愛と結婚について考えてみます。
依存症は別名アディクションと呼ばれ、3つの種類があります。それらは、物質依存(アルコールやたばこなど、物に対する依存)、プロセス依存(ギャンブル、買い物など、行為や行動に対する依存)、そして関係依存(人に対する依存)の3つです。
3番目の人に対する関係依存のアディクションには、「共依存」が含まれています。
共依存とは
共依存という言葉を初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。
この言葉は、アダルトチルドレンにはとても耳に痛い言葉かと言えます。この依存関係のために、大人になってもなお苦しんでいる人が多いのですから。
しかし、同時に、この言葉はアダルトチルドレン傾向の回復のカギを握っています。ACからの回復とは、相手に対する「共依存」関係にいる自分を、自律した自分に転換する考え方や行動のことでもあるからです。
共依存とは『自分のことより相手の世話にのめり込んでしまい、人の責任を取ってしまい、他人をコントロールしようとする行動』と言われます。(西尾和美著「アダルトチルドレンと癒し」より)
アルコール依存やギャンブル依存など、様々なアディクションを抱える人の周りには、必ずといっていいほど、その人を支える役回りの「共依存」の人が存在します。西尾氏の言葉を借りると、共依存の人間関係は、『相手のために自分を見失ってしまうような特殊な人間関係』なのです。
アダルトチルドレン傾向のあなたは、相手のために自分を見失ってしまう、という感覚は馴染みのあるものではありませんか?
子どものころ、母親との共依存関係にいた女の子の場合、かなりの確率で、恋愛関係や夫婦関係において、この傾向が顕著に表れるようです。
「愛しすぎる女たち」との出会い
「愛しすぎる女たち」は、結婚&家族カウンセラーで関係依存の専門家であるアメリカのロビン・ノーウッド女史のベストセラー著書のタイトル(原題は”Women who love too much” 落合恵子訳、1988年)です。ノーウッドは、関係依存の女性を「愛しすぎる女たち」と呼んだのです。
このタイトルは、共依存(主に恋愛依存)の女性が置かれた気の毒な状態を、絶妙に表現したものと思えます。
私にとって、この本との出会いは衝撃的で、もしこの本に出合っていなかったら、心理セラピストにもなっていなかったかもしれない、なんてふと思うことがあるくらいです。
この本は、かれこれ30年前、初めて訪ねた心療内科の医師から「あなたのことが書いてあるから読んでごらんなさい」と紹介されたものです。
30代の頃、ひと目ぼれで結婚した相手が、アルコール依存だとわかり、夫の暴言や破壊的行動で結婚生活がどんどん苦しくなっていた当時、夫のアルコール問題で訪ねた病院の先生が教えてくれた本だったのです。その頃の私は、自分自身が共依存だということにも気づいていませんでした。
そしてまた、アダルトチルドレンという概念を知ったのも、その本を読んだことがきっかけでした。子どものころから、母との関係はまさに共依存そのものでした。35才にして初めて、ようやく自分の生きづらさのルーツがわかった、というわけなんですよね。
この本は文庫本でも出ているので、興味のある人は一度読んでみてください。恋愛や結婚がうまく行かないとお悩みの人には、自分のことが書かれている、と感じるはずです。
アダルトチルドレンの恋愛と結婚
親との共依存を引き継ぐ
ここから、子どものころから共依存の関係になじんできたアダルトチルドレンの恋愛、そして結婚について見ていきます。
そもそも、アダルトチルドレンの特徴として、相手との関係で境界線を引くことが難しい、ということがあります。(関連記事『アダルトチルドレンが最も不得意なこと』をお読みください)
相手の感情の面倒ばかりを見て、自分の気持ちに目を向けることをしません。境界線が引けていないので、相手の感情や相手の問題に距離を置くことができないのです。
ここで「相手」と言っているのは、子どもから見たら母親または父親のことを言います。(女の子の場合は圧倒的に母親の方が多いです)
子どもは親に愛されることで心身ともに成長していくことができます。もし親が子どもを無条件に受け入れ、愛するなら、子どもは「自分は自分のままでいい」ことに何の疑いも持たないし、自分を無理やり変えたり、偽ったりすることで、親の愛情を得ようとしなくてすみます。
しかし、なかなか現実はそんな理想的に行かないことの方が多いです。
多くの場合、親に愛される(育ててもらう)ために、子どもは自分らしくいることをあきらめます。そして、親の気に入る、または親の役に立つ自分でいようとします。そのために「良い子」や「優しい子」を演じたり、自分の気持ちや欲求は抑えて、なかったことにします。可哀想な親を慰めたり助けたりして、自分を後回しにして相手に尽くすことを学びます。
このような、子どものころの親との関係は、大人になってからの恋愛・結婚の関係(共依存)に引き継がれるのは言うまでもありません。
ダメンズばかりに縁がある?
興味深いのは「愛される女たち」が選ぶ男性に共通する特徴です。
アルコール依存者、暴力的、精神的に未熟で無責任。
要するにダメンズです。自分をフェアに扱い大切にしてくれる成熟した男性ではありません。そのような相手のために尽くしたり、愛を得ようと懸命になります。むしろ、困ったダメンズの世話を焼いたり尽くしたりすることで、自分の存在価値を感じられたりします。
意図せずして、アダルトチルドレンは、わざわざ自分が苦労するような相手を選ぶのです。
最初は優しかった恋人が、蓋をあけてみたらアル中や、DV夫や、コントロール夫に変身するというケースも多いです。アダルトチルドレンは、普通の感覚の女性なら感じられる違和感を察知することが苦手です。お付き合いの過程で「ん、この人大丈夫かな」という不信感のようなものを感じにくいようです。
また、違和感や不信感を感じていても、突き進んでしまうアダルトチャイルドもいます。私の場合がそうでした。
本当はわかっていました。結婚前から、夫は大変で苦労する相手だ、ということを。それなのに、この人に認められたい、認められなければだめだ、と必死になっていたんですよね。
わざわざイバラの道を選ぶ心理
なぜわざわざ、苦労ばかりが伴う相手を選んでしまうのか。
ノーウッドによると、本当の自分ではいられないような過酷な状況で育つアダルトチルドレンは、自分をまるごと受け止めてくれる相手は、物足りなく面白味がなく退屈に思えてしまう。そもそも、親に愛されるために懸命にやってきた子どもは、自分が何も頑張ったりしなくても相手が愛してくれるなんて、経験したことがないのです。
人は馴染みのないことより、馴染んだものを選ぶ習性があるのです。アダルトチルドレンは、自分に馴染みのある、苦労する環境をわかっていても選んでしまう、ということです。
「快」と「不快」の逆転
さらには、この状態を「快」と「不快」が逆転している、とする見方で説明することができます。
人は誰かに好きと言われたり大切にされたら嬉しくなります。この状態は「快」、つまり自分にとって心地よい、快適に感じられる状態です。またその反対に人に冷たくされたり嫌われた時には、その状態を「不快」なものとして受け止めます。
アダルトチルドレンの場合、この「快」と「不快」が逆転しています。つまり、人から大切にされたり関心を寄せられることは、喜ばしいことではなく「不快」なことのように感じます。なぜなら、親や周りからそのように扱われることがなかったから。
その逆に関心を持たれなかったり、冷たくされることの方が、自分にとっては馴染みのある経験なため、その状態をむしろ「快」と感じます。慣れ親しんでいることの方が不安がないからです。
私はこの逆転の心の状態のことを知った時、自分の恋愛と結婚について、あれこれ感じていた疑問が解けました。
私のことを好きで結婚しようと言ってくれた幼なじみの彼がいたのに、その人から逃げ出してしまった。とても優しい彼をつまらなく感じて、私なんかと結婚したら彼は不幸になるに違いないと思って苦しかったこと。
そして、自分から選んだ夫は私を「役立たず」と罵るような暴言を吐くタイプだったのに、そんな気難しい人になんとか認めてもらおうと、たいへんな結婚生活をがんばってしまったこと。
幸せになりたいと願っていたはずの自分が、なぜわざわざイバラの道を進んでしまったのか・・・長年の謎がするっと解けたように感じました。
愛し、愛されることの高いハードル
これまで述べたように、アダルトチルドレンの恋愛と結婚は、子ども時代からの共依存の関係を引き継ぐという特徴があります。子どものころにやってきた方法と同じ方法で、相手の愛を得よう、相手に認めてもらおうと、頑張ってしまいます。そして多くの場合、うまく行かないのです。
自分をそのまま愛してもらう、という経験や、感覚がなく、相手との境界線がうまく引けないアダルトチルドレンにとっては、対等でフェアな人間関係の上に立つ恋愛や結婚というのは、とても高いハードルを越えていくことになります。
彼らはしばしば、「愛情」というものをこんな風にとらえています。
「人を愛する、ということは自分のすべてを犠牲にして相手に尽くすこと。愛されるとは、相手が自分の言う通り思う通りに何でもしてくれること」
これは、自分の親との共依存関係から学んだルールだと言えます。
愛を求めてさまよう人
タオマリエのセラピールームには、アダルトチャイルドの自覚がある方が多く訪ねてこられます。中にはやはり恋愛依存や、結婚生活が上手く行かないことでお悩みの方がいらっしゃいます。
先日カウンセリングを受けたクライアントさんの言葉が、とても印象深かったので、最後にご紹介しようと思います。
「私はいつも愛を求めてさまよっている。でもその愛は決して得られることがない」
そして、クライアントさんの恋愛はいつも苦しく辛く、相手にのめり込み、自分が自分でなくなるような感じだとのこと。
その後、クライアントさんには「それは愛ではなく、依存です」とお伝えし、共依存である恋愛依存のお話をしました。
共依存である恋愛や結婚においては「幸せ」や「愛情」を育てることができません。アダルトチルドレンには辛く苦しい現実ですが、共依存になりやすい自分に気づき、その自分をまず受け入れることが必要です。
そうすることで、アダルトチルドレンからの回復の道へと踏み出すことが可能だからです。
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