こんにちは、汰緒鞠映(タオマリエ)です。
静岡県磐田市で、心理セラピーと心の習慣作りを通して、マイナス思考、自信のなさ、自己肯定感のお悩みを抱える幅広い年令層のお悩み人をサポートしています。
2024年は元旦早々、大きな地震というショックな出来事からの幕開けとなってしまいました。多くの命が失われ、悲しく苦しい思いをされた方々がいらっしゃいます。そして厳しい避難生活もまだ続いています。この不安な状況が一刻も早く取り除かれることを願うばかりです。
最近特に感じることは、現代の便利さや物質的豊かさに半比例して、人々の心理的生きづらさが増しているということです。私の住む磐田市はメンタルクリニックや心療内科の数が少なく、なかなか予約も取れないということを聞きます。
一方、心理セラピーやカウンセリングは、医療とは違う立場でお悩み人に寄り添い、解決をサポートできる方法であるのに、人々の認知度はまだ高くありません。
心理カウンセリングがもっとコミュニティーに広がっていけるよう、そして少しでもお悩み人のお役に立てるよう、今年もブログを届けていきたいと思います。
今日はインナーチャイルドについて、心理学の観点からお話していきます。
Contents
インナーチャイルドってなあに
言葉の由来と意味
インナーチャイルドという言葉は、スピリチャル業界で広く知られているようですが、もともとは心理臨床の分野で現れたものと言われます。内的家族システム療法(Inner Family Systems Therapy: IFS)に由来すると言われ、この療法では、私たちの心は多くの副人格(パーツ)で構成されるシステムであり、そのパーツの中に年少の子どもの部分が含まれていると仮定するものです。(詳細は省きます)
インナーチャイルドは直訳すると「内なる子ども」。ケンブリッジ英語辞書を紐解くと「大人になっても子どものように反応したり感じる、自分の人格の子どもの部分」(拙訳)と説明されています。「子どものように反応したり感じたりする自分」という説明はわかりやすいですね。
しかし心理学および心理療法的には、「子どものように」という箇所を補足しないといけません。
「子どものように反応し感じる」とは、正確には、自分が子どもの時に、実際に起こったできごとや周りの人とのやり取りの中で反応し感じた感情が、大人の自分の心に、まるでその時のように繰り返される、というようなことです。具体的な記憶は残っていなくても、体が自動で反応したり感情がよみがえること、というと理解できる人もいるかもしれません。
子どもっぽいというような一般的な意味合いにとどまらないので、ここは気にとめてみてくださいね。
傷ついたままの子どもという特徴
インナーチャイルドという言葉を、スピリチュアルであれ心理療法であれ使用するときには主に「深く傷ついている子ども(チャイルド)という特徴があることも重要な点です。
もちろん、インナーチャイルドには朗らかで楽しい本当に子どもらしいチャイルドもいるわけですが、治療的な意味合いでは傷ついたチャイルドの部分に焦点がより強く当たります。
私が行っているインナーチェンジングセラピーがベースとしている交流分析という心理学では、私たちの心には3つの自我状態(親・大人・子ども)が機能していると考えられ、3番目の子どもの自我状態が、インナーチャイルドのことを表します。私たちの心は、常に3つの自我状態のどれかにスイッチングしているんです。
(3つの自我状態についてはこちらの記事を:「アダルトチルドレンの心の中で起こっていること」)
子どもの自我状態の働きはさらに2つに分類されています。ひとつは自然な子ども、もうひとつは適応した子どもです。適応した子どもとは、親や周りに対して従順になろうとして自分の感情や行動を抑えたり、逆に反発して反抗的な態度を取ったりした子どもの時の状態を意味し、この適応した子どもが「傷ついたインナーチャイルド」に相当すると言えます。
自分のチャイルドに気づいていない私たち
もっと分かりやすくひとことで言うなら、傷ついたインナーチャイルドとは「抑えてしまった感情や傷つきを抱えたままの子ども時代の心の状態」という感じでしょうか。この言葉で、ああ、なんとなくわかる、という方もいれば、ピンと来ない人もいるかもしれません。
実は多くの場合、心についてあまり学ぶことのなかった私たちは、傷ついた子どもが自分の中にいる、なんて想像をしたこともないのではないかと思います。
寂しさを訴える人々
感情と記憶の関係
インナーチャイルドという言葉について説明したところで、タオマリエの心理セラピーを訪ねてくださるクライアントさんについて話題を移します。
心理セラピーでは、現在のお悩みのルーツを探るべく、子どものころの状況を思い出してもらいますが、子どもの頃の記憶や思い出があまりない人もけっこういらっしゃいます。断片的にうっすらと思い出す情景や感覚はあるけれど、どこで誰がいた(エピソード記憶と呼ばれる)というのははっきりとわからないという場合も多いです。
これは、私たちの脳の発達がゆっくりであることと関係があり、ほとんどの人が3・4才以前のできごとを覚えていないのは「幼児期健忘」と呼ばれます。
クライアントさんが小さい頃のことをはっきりと思い出せない場合でも、なんとなくの感覚を探っていくと、「寂しさ」「ひとりぼっち」などのキーワードが浮かび上がってくることがあります。
寂しさはどこから来る?
そのキーワードでさらに探っていくと、大好きなお母さんが自分を置いて行ってしまう後ろ姿を思い出す方もいらっしゃいます。混乱して泣いている小さな自分が感じているのが「寂しい」「ひとりぼっち」という感覚なのです。
たとえ出来事の記憶があいまいであっても、私たちの感情は強く体や心に刻まれるものです。
何かできごとが起こった際に、誰にも守ってもらえずひとりで我慢していたり、相手に合わせて自分の気持ちをないことにした、何も感じないようにしたなどの場合に、抑えこんだ感情は傷つきとともに心の奥に残り続けます。
傷ついた「インナーチャイルド」はこのようにして、大人になったあなたの心の奥にしまいこまれています。
インナーチャイルドの癒し方
基本のアプローチ
ではここから、インナーチャイルドをどうやって癒していったらいいかについて見ていきましょう。まず基本の考え方があります。それは「気づいてあげる」というスタンスです。
気づいてあげたいポイントは複数ありますが、このブログでは特に重要な3点をまとめます。
「傷ついたままのインナーチャイルド」
ポイントその1は、子どもの頃の自分(インナーチャイルド)が「傷ついたまま」だということです。
何かのできごとや誰か(親)の言動に傷ついた。ひょっとしたらそれは繰り返して何度も起こったのかもしれません。でも、その傷は癒えていません。放置されたままです。
それはたぶん、自分の気持ちを聞いてくれる人が回りにいなかったり、打ち明けても相手にされなかったり、あるいは、ばかにされたり怒られたため、自分がいけないのだ、自分が我慢すればいいのだと思い込んでしまったから、ということもあるでしょう。
「抑え込んだ感情」
インナーチャイルドは、誰にもわかってもらえず、ひとりで、悲しみ、寂しさ、怖さ、不安、怒りの気持ちなどを我慢していたはずです。
次に気づいてあげたいポイントその2は、あなたのインナーチャイルドはどんな感情を抑え込んだのか、ということです。
もし、小さい頃の思い出せる場面があるのなら、その時の自分を思い浮かべて聞いてみることができます。例えば「お母さんに置いていかれた時、どんな気持ちだったの?」「怖かったの?」「悲しかったの?」「ひとりぼっちだと思ったの?」など、自分の中で尋ねてみましょう。
すると、その時の感情がなんとなく浮かんでくることもあれば、ありありとした感情が出てくることもあると思います。その時に大切なのは、その気持ちをそのまま受け止めてあげることです。
「そうだったんだね」「怖かったんだね」「寂しかったんだね」などと自分のインナーチャイルドに向かって静かに声をかけましょう。「そうだったんだね」と受け止めることは、そのままの自分でいいんんだ、と思える気持ちにつながっていきます。
「どうしてほしかったのか?」
3つ目の気づいてあげたいポイントはとても重要です。ポイント1と2を経てから、ここにたどり着くのが自然な流れです。
それは「どうしてほしかったのか」ということ。(または「どうしたかったのか」)
自分の感情を抑えたままのインナーチャイルドは、自分の気持ちを隠したり、自分とは違う自分を装ったりすることで、いわばサバイバルをして大人になっています。
本当の自分の気持ちを言ったら、お母さんやお父さんを怒らせたり、悲しませたり、がっかりさせたりするからです。インナーチャイルドは、本当の(そのままの)自分ではダメだと思い込んでいることも多いのです。
そんなインナーチャイルドの自分に「どうしてほしかったの?」または「どうしたかったの?」と尋ねてみてください。きっと迷わず答えが返ってくるでしょう。
「わかってほしかった」
心理セラピーの中で「どうしてほしかったの?」と尋ねたクライアントさんから帰ってきた答えで一番多いのは「自分の気持ちをわかってほしかった」というものです。ほかにも「怒らずに気持ちを聞いてほしかった」という人もいます。
親の子どもに対する態度で問題となるものが、一方的な押し付けやわかろうとしない態度のように思えます。「あなたは頭が悪いんだから」「あなたはわがままなんだから」「あなたは性格がおとなしすぎる」「あなたは」「あなたは」といった親の押し付けや決めつけが子どもの心を傷つけます。
一番わかってほしい親に「わかってもらえない」ことで、子どもは情緒的な見捨てられ感を心の中に抱き、その土壌の上で育った「孤独感」「寂しさ」を大人になっても持ち続けます。
「わかってもらえない」寂しさは、自信のなさ、自己卑下や自己否定などのお悩みのルーツにも見られるものです。
自分をわかってくれるのは誰?
では最後に、もっとも大切なことをお伝えしておきます。
もし、上記にあげた「気づいてあげたいポイント3つ」を実際にやってみたなら、あなたはいろいろな気づきを得たことでしょう。その気づきの中にもこのことが入っているかもしれません。
それは、この質問の答えとなるものなんですが・・・・・
「あなたのこと、あなたの気持ちや思いを一番よくわかっているのは誰?」と聞いてみてください。
あなたがもし「私のことをわかってもらえなかった」とか「親はわかろうともしなかった」など、悲しみや怒りを感じたとしたら、この質問の答えがあなたに一筋の光を与えてくれるはずです。
世間の人は誰一人自分をわかってくれない、とさえ思えたとしても、たったひとり、自分のことを一番わかっている人がいます。
それは誰でしょうか?その人こそが、あなたのインナーチャイルドを癒す役割を持つ人です。
さあ、もうお気づきでしょう。
それは、あなた自身です。傷ついたインナーチャイルドを心の奥にしまい込みながら、サバイバルして今こうして大人になっている今のあなたなのです。
自分のことを一番わかる自分だからこそ、インナーチャイルドに寄り添い、受け入れ、OKを出すことで傷つきを癒すことができるのです。
ご参考として、以前のクライアントさんが、インナーチャイルドの自分と向き合って人付き合いの悩みを改善した事例をご紹介しておきます。ぜひお読みくださいね。
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