岡県磐田市のお茶畑を臨むセラピールームから。
こんにちは、汰緒鞠映(タオマリエ)です。
生きづらさに悩むアダルトチルドレン傾向の方々のサポートを、心理セラピーと心の習慣化トレーニングを通じて、お茶畑を見下ろすセラピールームで提供しています。
今日は「愛着」問題に、大きな影響を持つ「安全基地」についてご紹介します。
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「友達とは話せるのに、なぜか深いところまでは踏み込めない」
「好きな人ほど不安になって、連絡がないだけで頭が真っ白になる」
「相手に合わせすぎて、気づけば自分がなくなっている」
あなたはそんなことはありませんか?
人といると「嫌われたらどうしよう」が頭から離れず、いつも気を張っていて疲れてしまう。本当の自分を出したら、きっとがっかりされる気がして、いつも「いい人」を演じてしまう。
こうしたお悩みを持つ方の多くが、心のどこかで自分を責めています。「自分の性格が悪いから」「自分が弱いから」と。
でも実は、もっと根っこにある「安全基地」の有無が関係していることが少なくないんです。
Contents
「安全基地」ってなんだろう
「安全基地」とは、心理学者ジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論の中心となる考え方です。
こんな光景を想像してみてください。
初めての公園で、小さな子どもがお母さんの膝の上からそっと離れます。少し先で、他の子たちが楽しそうに遊んでいる。行ってみたい、でも少し怖い。それでもその子は、勇気を出して一歩を踏み出します。
なぜ踏み出せるのかというと、ふと後ろを振り返れば、お母さんが自分を見ていてくれるからです。にっこり微笑んで、こちらを見ていてくれる。「大丈夫だよ、見てるよ」というその視線がある。だからこそ、子どもは安心して、知らない世界に飛び込んでいけるのです。
そして、もし転んで泣いてしまっても、そこに戻れば抱きしめてもらえる。安心を補充したら、また新しい冒険に出ていけます。このような場合、子どもにはお母さんという安全基地がある、と言えます。
大人にも必要な安全基地
大人の安全基地は、子どもの安全基地とは異なります。いつも隣にいてくれる誰かというよりも、心の中に思い浮かべられる存在であることも多いです。
不安なことに挑戦するとき、「あの人は、きっと自分を信じてくれている」と思い浮かべられる誰かがいる。うまくいかなかったとしても、「大丈夫、話を聞いてくれる人がいる」と思える。そう思えるだけで、私たちは一歩を踏み出す勇気を持てるのです。
物理的に抱きしめてもらわなくても、心の中にそうした「心理的な支え」があること。それが、大人にとっての安全基地の正体です。
安全基地がなかった・・・
問題は、この安全基地が、子ども時代に十分に得られなかった場合です。
振り向いても、そこに安心して見ていてくれる存在がいなかった。または養育者(主に母親)の反応が不安定だった場合もあります。時には見てもらえ、時には無視されたり、と。
すると、子どもは困っても甘えたり頼ったりすることができない、と諦めます。安全基地がない、または不安定な状態なので、安心の感覚を持てないまま育ちます。その場合、新しい世界に飛び込む勇気や、誰かに安心して近づく感覚も育ちにくくなります。
子どもは自分が信頼できる人(=安全基地)があることで、自分から勇気をだして周りに関わっていくことができます。そして自発性や自主性を発展させていきます。安心して帰れる場所や、困ったら頼れる大人がいることが、主体性を養うには必要な条件なのです。
安全基地がないと、人間関係はどうなる?
人間関係の共通パターン
安全基地を持てないまま大人になった場合、どうなるでしょうか。人間関係にはいくつかの共通したパターンが現れやすくなります。
友人関係では、ある程度までは仲良くなれても、それ以上近づくことが怖くなります。距離が縮まるほど「本当の自分を知られたら、きっとがっかりされる」という予感が強くなる。そのため、無意識にブレーキをかけてしまうのです。
見捨てられ不安がぬぐえない
恋愛関係では、これが「見捨てられ不安」というかたちで強く出ることがあります。相手のちょっとした変化に敏感になり、常に相手の顔色をうかがう。自分の意見や欲求を出すと関係が壊れる気がして、相手に合わせすぎてしまう。
人によっては、対等ではなく、相手に尽くすことで人間関係を保とうとする。いわゆる共依存関係になっていくこともあります。
さらに、対人関係全般においては、「嫌われないように」が行動の基準になります。素の自分を出すことが怖く、常に相手が求める自分を演じ続けます。すると、人といること自体が消耗する作業になってしまいます。
お悩みの根っこにあるものは・・・
自己肯定感の手前の「自己受容」の欠如
こうした悩みの根っこをたどっていくと、多くの場合「自己肯定感の低さ」に行き着きます。でも、より正確に言うと、それは「自己肯定感」のもっと手前にある「自己受容」の欠如ではないか。私はそのように感じています。
自己肯定感は「できること」「価値のあること」に基づいて自分を肯定する感覚です。一方、自己受容は、「できてもできなくても、優れていても不完全でも、「自分はこれでいい」。無条件に自分の存在を受け入れる感覚です。
愛着体験が不安定だった方は、この土台となる自己受容がそもそも育っていないことが多いのです。
だからこそ「もっと頑張れば」「もっと成果を出せば」と自己肯定感を積み上げようとします。しかし、根本的な安心感にはなかなかつながりません。何かを達成しても、心の奥では「本当の自分はダメなんじゃないか」という不安が残るのです。
クライアントAさんの事例:人と近づくのがずっと怖かった
数年前にタオマリエのセラピールームを訪ねてくれた、女性クライアントのAさんの例をご紹介します。
Aさんは、恋愛になると必ず苦しくなってしまうとお話しされていました。好きになるほど不安が強くなります。相手のLINEの既読がつかないだけで、頭の中に不安が溢れます。「嫌われたかもしれない」と。気づけば、自分の気持ちよりも相手の機嫌を優先し、対等な関係を築けずにいました。
セッションを重ねる中で見えてきたことは。Aさんの中には「安心してぶつかれる場所」が、幼い頃から一度もなかったようでした。自分の欲求や思いを言うと、家の中の空気が悪くなる。だから、いつも自分の気持ちを飲み込んで、相手の顔色をうかがう子どもだったのです。
そんなAさんは、セラピールームという安心・安全な場で、どんな自分でも否定されない、という体験を重ねていきました。「本当の自分を出しても否定されず受け止めてもらえる」という感覚を初めて実感したと言います。それが、Aさんにとっては「安全基地」になっていった、と言えます。
安全基地は、大人になってからでも作れる
ここで、ぜひお伝えしたいことがあります。
安全基地は、「子ども時代に得られなかったとしても、大人になってから新しく作っていくことができる」ということです。
安全基地は、必ずしも特定の誰か一人だけである必要はありません。信頼できるパートナーや友人との関係、安心して話せる場、そしてカウンセリングのような専門的な関係も、安全基地の役割を果たすことができます。
大切なのは、「不安になったときに、安心を補充できる場所がある」という感覚そのものです。そうした関係を少しずつ積み重ねていくことが大切です。そうやって「自分はこのままでも大丈夫」という自己受容の感覚も、少しずつ育っていきます。
今日からできる、小さな一歩
どんな大きな変化でも、小さな一歩の積み重ねから始まるものです。「安心の土台」を作ることから始めましょう。今、すぐにできることを3つご紹介します。
1.気づく:人といて「疲れたな」「無理して合わせたな」と感じた瞬間に、ただ気づいてみる。責めなくて大丈夫です。まずは気づく、「そうなんだな」と。このことが重要です。
2.小さく出してみる:信頼できる相手に、ほんの少しだけ、本音や希望を口にしてみる。「本当は〇〇したい」というひと言だけでも構いません。
3.結果より、がんばった自分に目を向ける:うまくいかなかった日も、「結果はどうであれ、今日も一日、ちゃんと生きた」「逃げずにここまでやってきた自分がいる」と。成果ではなく、そこにいた自分自身に目を向けてみる。
これらは一見小さなことですが、積み重なることで、少しずつ「安心の土台」が育っていきます。
どんな自分でも受け入れられる場所
カウンセリングに私が願うこと
人間関係の悩みや不安、自分への自信のなさは、あなたの性格が弱いからではありません。これまで安全基地を十分に持てなかったことの、自然な結果です。そしてそれは、今からでも変えていくことができます。
タオマリエのカウンセリングルームでは、「アダルトチルドレン」と呼ばれる、子どもの頃の親や周りの人との関係の中で、感情や傷つきを抑え込んできた方々の生きづらさの解消をサポートしています。
インナーチャイルドの傷つきを癒す
生きづらさの根っこには、幼い頃に十分に受け止めてもらえなかった「インナーチャイルド」がいます。インナーチャイルドは、心の中に残ったままの、小さな傷ついた子どもの自分です。
この記事でお伝えした「安全基地」は、まさにこのインナーチャイルドが安心して顔を出せる場所。そんな風にとらえています。
セラピールームは、クライアントさんとカウンセラーの私だけの、安心・安全な空間です。何を話しても、どんな自分を見せても大丈夫。その中で、クライアントさんは、抑え込んできた感情やインナーチャイルドの傷つきを癒していきます。
どんな自分でも受け入れる
傷つきが癒されると、「どんな自分でも受け入れて歩んでいける」という感覚が増えていきます。そのうえで、本来の自分(「あなたらしさ」)を取り戻していく。そのお手伝いを、カウンセリングを通して行っています。
一人で抱え込まず、まずは安心して話せる場所を持つことから、始めてみませんか。オンラインでのご相談も承っております。ご興味を持たれた方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
(*アダルトチルドレンやインナーチャイルドについて基本から知りたい方は
『アダルトチルドレンのインナーチャイルドの癒し方』 もあわせてご覧ください、
(*この記事は「安全基地」シリーズの第一話となります。第二話は 『パートナーが安全基地になるとき ― 見捨てられ不安と共依存を超えて』/ 第三話『自分を嫌いなあなたへ ― “自己受容”という、もう一つの安心の育て方』 / 第四話『カウンセリングが安全基地になる理由』)
続きをお楽しみにしていてくださいね。
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