「毒親」もつらいよ – 静岡磐田で心理カウンセリング
2020.11.15 (2021.2.18更新)
こんにちは
汰緒鞠映(タオマリエ)です。
アダルトチルドレン歴の長い私としては、この言葉には複雑な想いがあります。
今日は、「毒親」について書いてみたいと思います。
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Contents
どの親も「毒親」
ちょっと衝撃的なことを言ってしまいましょう。
・・・・・
「毒親」でない親なんていません。みんな、多かれ少なかれ「毒親」です。
あー、思っていたことをついに言えました。
どういうことかというと、完璧な人間はいません。完璧な親もありません。それぞれの親が、自分の親から学んだ方法や、世間一般的な考え方や、自分が正しいと思う方法で、迷いながら悩みながらも子育てをします。
子どもにとってよかれと思い、親がしていることが、子どもの意にそぐわず、子どもを傷つけることがあったとしたら、そのような親は、子どもから見たらきっと「毒親」と言えるのでしょう。
しかし、親からしてみれば、自分が正しいと信じていたことを否定され、子どもが自分の人生を「親の育て方のせいだ」と嘆いている、そんな恐るべき状況が起こっているのです。
あんなに大切に育てた「良い子」だった娘や息子から、そんなことを言われるのですから、ショックは大きいことでしょう。
しかし、それは親自身にとっても「自分を振り返る」「変わっていく」チャンスなのだといえます。
被害者対加害者の構図
「毒親」という言葉は、アダルトチルドレンを被害者として見ると、親が加害者であることを浮き彫りにする、キャッチ―な言葉だといえます。
この言葉には、「被害者」対「加害者」の構図を強調させる効果があります。
「自分がこのように不幸なのは、親のせいだ、育て方が悪かったんだ、私はかわいそうな犠牲者だ」というメッセージが暗示的に発信されています。
ある意味そうなのかもしれません。親が違えば、違う人生があったかもしれない。過酷な子ども時代を過ごした人にしかわからない気持ちがあることでしょう。
しかし「毒親」という言葉自体が、被害者マインドに拍車をかけてしまうこともあります。
何かうまく行かない時の、都合のよい「言い訳」になってしまうことだってあります。
だからこそ、毒親という言葉を耳にする度に、子どもであるアダルトチルドレンには、「被害者意識」や「かわいそうな犠牲者の自分」という落とし穴に警鐘を鳴らす必要があると感じます。
被害者マインドという落とし穴
何故なら、この落とし穴はなかなか深くて抜け出しにくい。
親のせいだ、育て方のせいだと相手を責めてしまい、自分のことを憐れんで嘆き続ける・・・そんな負のスパイラルに入ってしまうからです。
自分を可哀想と思うことがいけないのではありません。
タオマリエの心理セラピーでは、子ども時代の自分(インナーチャイルド)と対話をして癒すことがステップの中に含まれています。傷ついた自分(の部分)をいたわり癒すことはとても大切なことです。
避けるべきなのは、自分が被害者だという気持ちに安住してしまうこと。
もしあなたが親に会って話をする時や、親のことを考える時にすっきりしない気持ちがある場合は、自分の心の状態を点検をしてみることが必要です。
親に対して「良い子」の自分で振舞ってきた人は特に、我慢し続けてきた自分の気持ちや、抑え続けてきた感情があります。
それらは、身体や記憶の中に、フリーズドライされたもののように残っています。そして、大人になってから、溢れ出し、爆発したりします。
それは私自身、嫌というほど経験してきました。そして先ほど述べた「かわいそうな自分」の落とし穴にはまっていた時代も長らくありました。
わかって欲しかった私
今日お話したいのは、ごく最近の出来事のことです。
朝から「おはよう」の代わりに、マイナスのことばかり訴えてくる、そんなことが続いた朝に、事件は起こりました。
私のそっけない言葉がきっかけで、母が怒り始め、お互いに売り言葉に買い言葉のその後、「親のことを恨んでいるとは、なんて怖ろしい娘だ」という決まり文句になり、そして「もう今から親でも子でもない、本当にこれまでお世話になりました」と行って、その日のうちに家を出ていってしまった。
昔の私だったら、「ごめんね、ごめんね」と必死に母をなだめてご機嫌をとっていたでしょう、心の中にはモヤモヤを溜めたままで。でももう最近は、自分の心の様子がよくわかり、どうしたらいいのかもわかっています。
(私は、母が私の気持ちを全くわかろうとしないことが悲しく寂しいんだよね。でも、この母には伝わりようがない)
(母は、私自身のつらい気持ちを言うと、だめな母親だと攻撃されていると思うんだな。娘に否定されることがそれほどに怖いんだな)
(でも、母はわかっていない、娘は母を否定しているのではなく、ただつらい気持ちをわかってほしかったし、今でもその気持をあきらめきれないってことを)
(母から父やおばあちゃんの悪口やグチを聞き続ける子どもの気持ちを、母は少しでも考えたことはあったのだろうか)
(何十年もたって、今さら、そんなことを言われたって、言われる母だって困るよね)
今回のケンカの後で考えていたのは、そんなようなことでした。
親から子供へ引き継がれる
アダルトチルドレン(AC)の傾向は、無意識のレベルで、親から子供に引き継がれていきます
私の母親も筋金入りのアダルトチルドレンと言えます。
自分の一部を子どもに否定されることは、自分の母親としてのすべてを否定されたことになってしまう、これがACの人が典型的に持つ硬直した考え方です。
私が望んでいたのは「そんな風につらい気持ちを我慢していたんだね、つらかったんだね」という慰めの言葉だったんだな、と今回の喧嘩であたらめてわかったんです。
おばあちゃん思いの私の娘は、「ばあばのことどうするの?もう帰ってこないの?」と心配そうに言ってきます。私が母を放っているのに、娘はおばあちゃんとまめに携帯で連絡を取って、やさしい言葉をかけているようです。
娘とおばあちゃんは仲いいのだから、私はその邪魔はしません。これは母と私の喧嘩だから。
母が自分で「縁を切る」と出ていっただけで、私はそんなこと言ってないし、望んでもいない。
ちょっと様子を見るかと思っていた時、驚く展開がありました。
初めて気持ちをわかってもらえた!
家出をして翌々日の朝に、母から携帯の電話がありました。
なんと、「悪い母親で本当に申し訳ない、ずっと涙が止まらない、お母さんを許してくれるか、私の娘でいてくれるか」という言葉が続き、電話口で母が泣いていました。
ようやくわかってくれたのか、と私はめちゃくちゃ嬉しかった。そして、キツイことを言ってしまったことを謝りました。母がこんなに素直に謝ってくるなんて驚いたけれど、嬉しい気持ちの方がずっと大きかった。
ところが・・・その後数日たって妹の家に母を訪ねると、様子が変でよそよそしい。どうしたのかと思い話していくうちに、理由がわかりました。母の記憶には、私に電話をしたことが全く残っていなかったのです。
私に謝ってくれて、娘でいてほしいと言ってくれて、お互いに仲直りしたんだよ、と私が言っても首をかしげて「覚えていない」という母。
あの時の二人の仲直りの会話は、母からしたら、なかったことになっていたと知り、愕然としました。物忘れが増えてきたことはわかっていたはずでしたが。
それでも「本当に悪かった、私の娘でいてくれるか」という母の言葉は、しっかりと私の耳と記憶に残っているし、その時の嬉しい気持ちも心の中に暖かく残っています。
あれは母の、心の奥の奥の本心に違いないって思えるんですよね。
毒親というレッテル
この記事を読んでいただいたあなたは、どんなことを感じたでしょうか。
辛い想いをしてきて、今でも生きづらさに悩む子どもにとっては「毒親」という概念は、自分が悪いわけではないと思えるきっかけになったかもしれません。
そして、自分はあのように子どもを育てたりしない、という強い意志を支えてくれるものになっているかもしれません。
また、どんな親でも育ててくれたのだから「毒親」なんて呼べない、という人もきっといることでしょう。
客観的に考えてみれば、あなたが自分なりの考え方を持って今こうして、へこんだり落ち込んだり、また頑張ろうって気を取り直したりして、日々を過ごしているように、親も親なりの考え方と生き方でやってきた、ということです。
あなたの求める愛情をくれなかったり、あなたの気持ちを全然理解しようとしなかった親かもしれません。
仮にそうであっても、あなたがこうしているのは、親が生んで育ててくれたから。それは間違いのない事実です。
毒親というレッテルの下にいるのは、泥臭くも可愛げのあるひとりの人間であるということは、忘れてはいけないかなと、今の私には思えるのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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このブログを書いた人
アダルトチルドレンのための「あなたらしさ」革命!!
静岡発 磐田浜松 しなやかココロトレーナー 汰緒鞠映(タオマリエ)
20代から過食症、不安症や、アダルトチャイルド特徴の自分に悩み続け、様々な解決方法を試すも、改善されないまま、英語のプロをめざして勉強を続け、英語講師、通訳、翻訳などの専門職に従事。その30年で、幅広い年齢、文化、背景の人々との交流から「共感するコミュニケーションの方法」を身につける。
55才で出会ったビリーフを書き変える心理療法で、それまでの生きづらさを解消し自分への信頼を得たことで、同じ悩みを抱える人のココロケアの仕事に転向。
心理セラピーセッション、個人相談、講座などでこれまで100人以上をサポート、自分らしさを取り戻し夢や希望に向かって人生を輝かせる人多数。
心理セラピーを基盤にした「しなやかな心の習慣作り」の実践者として、20代から60代の幅広い層の人々をクライアントに、地元での活動の幅を広げている。
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